オゾン層破壊について

オゾンは成層圏で生成と分解を繰り返し安定した平衡状態をなし、オゾン層を形成している。成層圏とは地上から１０～５０ｋｍのことである。

オゾン層破壊の原因物質はフロン、ハロンである。

フロンの用途としては冷却媒体、発泡剤、洗浄剤、エアロゾール噴射剤などがある。

日本では冷媒や洗浄剤としての用途が多い。フロンは成層圏で紫外線により分解され塩素を遊離しオゾンを破壊する。

ハロンは構成している臭素がオゾン層を破壊する。主に家庭やビル、美術館の火災時に消火剤として使用される。

オゾン層の役割は①有害紫外線の吸収②気候の安定化などがあげられる。

① 有害紫外線、ＵＶ－Ａは地上への照射量が多く一度に大量に浴びるとＤＮＡに傷がつき皮膚の老化を早める。ＵＶ－Ｂは地上への照射量は少ないが一番有害で皮膚がんや白内障を引き起こしたり免疫力を低下させる。

② 気候の安定化・・・対流圏では対流と気圧低下による断熱膨張により熱が奪われ１㎞あたり約6.5度温度が低下する。成層圏ではオゾンが紫外線を吸収したときに発生した熱により空気が暖められる。この結果、冷たい対流圏の上に暖かい成層圏が乗る形になり成層圏で対流はほとんど起こらない。

オゾン層破壊の影響は①人的影響、②動植物への影響、③気候への影響がある。

① 人への影響・・・皮膚疾患の増加；皮膚がん、悪性黒色腫、日光性角化症の増加

オゾン層が1%減少すると有害紫外線が２％増加し皮膚がん発生率が３％増加するといわれている。

視覚障害・・・角膜炎、白内障

オゾンが１％減少すると世界的に10～15万人が失明すると推定されている。

免疫系の抑制・・・免疫力の低下、感染症の増加、癌の増加

② 動植物への影響･･･植物プランクトンの減少、土壌微生物の減少、植物の生育阻害、動物の成長阻害

③ 気候への影響・・・気候変動、地球温暖化の促進、光化学スモッグ

オゾン層破壊の現況と対策

南極上空のオゾンホールは毎年大きくなっており、2000年には過去最大の面積で南極大陸の約２倍以上日本面積の約７０倍の面積をしめた。

北半球でもオゾンの量が少なくなってきている。

防止のための国際的取組みについて現在のモントリオール議定書では特定フロンの生産全廃代替フロンの生産の実質廃止、特定フロンの回収、再利用の促進、これにより21世紀にはオゾンホールはこれ以上大きくならないとされている。